親が亡くなったらまずやることは?葬儀・手続き・相続まで徹底解説

親が亡くなった直後は、葬儀の準備や関係者への連絡、役所への届け出、遺産や財産の整理など、短期間のうちに数多くの手続きを進めなければなりません。突然の出来事に気が動転してしまうのは当然ですが、期限のある手続きも多いため、落ち着いて一つひとつ対応していくことが重要です。

 

そこで今回は、死亡直後に行うべき初動対応から、葬儀、行政手続き、銀行口座や保険の整理、相続・税金の申告に至るまで、必要な流れを時系列でわかりやすく解説しています。専門家への相談が必要なタイミングについても触れていますので、今後の備えとしても参考にしてみてください。

親が亡くなった直後に行うこと

親が亡くなった直後は、気持ちの整理がつかないままでも、医師への連絡や死亡診断書の取得、関係者への連絡、ご遺体の搬送・安置など、すぐに対応すべきことが数多く発生します。ここでは、親が亡くなった直後にやるべき具体的な行動について解説します。

まずは医師に連絡して死亡を確認してもらう

親が自宅で亡くなった場合、最初に行うべき対応は、医師に連絡して死亡の確認を依頼することです。かかりつけ医がいる場合は、その医師に来てもらい、死亡診断書を作成してもらいます。一方、かかりつけ医がいない、あるいは夜間などで対応が難しいときには、119番通報を行いましょう。救急隊や警察が到着後、現場の確認と検視を経て、死体検案書が交付される流れとなります。

 

病院で亡くなった際は、担当医師が死亡確認を行い、その場で必要書類が発行されます。こうした死亡の確認は、葬儀や役所手続き、保険請求を進めるうえで欠かせない重要なステップです。

死亡診断書または死体検案書を受け取る

親が亡くなった直後にまず行うべきことは、医師から「死亡診断書」または「死体検案書」を受け取ることです。病院で亡くなった場合は担当医が死亡診断書を作成します。一方、自宅などで突然亡くなったときは、警察による検視の後に死体検案書が交付されます。これらの書類は、死亡届と一体化された形式で渡されることが多く、火葬許可や各種行政手続きに欠かせません。

 

死亡届は、死亡を知った日から7日以内に提出しなければならず、原本は回収されるため手元には残りません。相続や保険金の請求などで後日必要になる場合もあるため、事前にコピーを取っておくと安心です。

親族や勤務先など、関係者へ連絡を行う

親が亡くなった直後は、まず兄弟姉妹や子どもなどの近親者に連絡を入れる必要があります。電話やメールで、亡くなった事実だけでも当日中に伝えるのが一般的です。葬儀の日程が未定であれば、決まり次第あらためて知らせるとよいでしょう。

 

故人が在職中であった場合には、勤務先へも訃報の連絡を行います。また、自身が勤務している場合は、会社へ報告し、忌引休暇の取得や業務の引き継ぎについて確認しておくことが大切です。

 

連絡は一人に集中させず、家族で役割を分担することで混乱を防げます。葬儀の規模や方針にもよりますが、友人や知人への連絡は、日程が確定してからにしても差し支えありません。

葬儀社を手配し、ご遺体を搬送・安置する

親が亡くなった直後は、できるだけ早く葬儀社に連絡を取り、ご遺体の搬送と安置を進める必要があります。病院で亡くなった場合には、提携している葬儀社を案内されることもありますが、自分で信頼できる業者を選んで依頼することも可能です。葬儀社の多くは24時間対応しているため、深夜の連絡にも応じてもらえます。

 

搬送を依頼する際は、病院名や住所など、現在地の情報を正確に伝えることが大切です。ご遺体は一般的に寝台車で移送され、自宅・葬儀社の安置施設・斎場など、事情に応じた場所へ安置されます。

通夜・葬儀の日程と会場を決める

ご遺体の搬送と安置が完了したら、速やかに通夜および葬儀の日程と会場を決定します。通夜は一般的に死亡の翌日か翌々日に行われ、葬儀・告別式はその翌日に続けて執り行われる傾向があります。ただし、火葬は法律により死亡から24時間以上経過しなければ実施できないため、日程の調整には注意が必要です。

 

日取りを決める際は、火葬場や会場の空き状況、親族の予定、そして六曜(特に友引)も考慮しましょう。会場は自宅、寺院、公営斎場、または葬儀社の施設などが候補となります。宗教形式に応じた設備の有無も確認したうえで、適切な場所を選定してください。

死亡届を提出し、火葬許可証を取得する

親が亡くなった場合には、死亡届の提出と火葬許可証の取得が必要です。死亡届は、死亡を知った日から7日以内に、市区町村の役所へ届け出ます。提出先は、故人の死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかが該当し、通常は親族や同居人が届け出ることが一般的です。届け出には、医師が作成した死亡診断書または死体検案書を添える必要があります。

 

提出後、火葬や埋葬に必要な火葬許可証が交付されますが、これがなければ火葬はできません。多くの場合、葬儀社が手続きを代行してくれますが、自身で行うことも可能です。

葬儀費用の支払い・領収書を保管しておく

葬儀が終わったあとは、葬儀社から届く請求書と事前に受け取った見積書を照合し、内容に相違がないかを確認したうえで支払いを行いましょう。支払時期の目安は、葬儀後おおむね1週間から10日以内とされています。費用は喪主が立て替える場合が多いものの、相続人間で分担したり、故人の預貯金や保険金を充てるケースもあります。故人の口座を利用する際には、他の相続人の了承を得ておくと安心です。

 

また、葬儀社の領収書だけでなく、お布施、供花代、飲食費、交通費など、葬儀に関連する支出についても記録を残しておくことが重要です。これらの書類は、葬祭費補助金の申請や相続手続き、相続税申告の際に必要となる場合があります。

葬儀後に必要な役所・公的手続き

葬儀を終えたあとも、遺族はさまざまな公的手続きを一定の期限内に進める必要があります。なかでも死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ提出しなければなりません。多くの場合、火葬許可証の申請もあわせて行います。

 

その後も住民票の抹消や世帯主変更、年金の受給停止、健康保険・介護保険の資格喪失届など、順を追って対応が必要です。加えて、未支給年金や葬祭費の請求、相続放棄や税務関連の申告も控えており、いずれも期限を過ぎると不利益が生じるおそれがあります。下記の表を参考に、優先順位を意識しながら落ち着いて手続きを進めましょう。

 

手続き内容 目安の期限 所管部署(例)
死亡届・火葬許可申請 死亡を知った日から7日以内 市区町村役場(戸籍課)
住民票の除票・世帯主変更 14日以内 市区町村役場
年金の受給停止(厚生・国民) 10~14日以内 年金事務所・役場
健康保険・介護保険の喪失届 14日以内 市区町村役場(保険課)
未支給年金・葬祭費の請求 2〜5年以内 年金事務所・保険者等
相続放棄・税務関連(※) 数か月以内(※) 家庭裁判所・税務署等

※相続放棄:3か月以内/準確定申告:4か月以内/相続税申告:10か月以内

 

公的な手続きは多岐にわたるうえ、個々の状況によって必要な申請が異なります。

銀行口座や保険などお金の手続き

親が亡くなったあとは、葬儀や役所への届け出だけでなく、銀行口座の凍結や保険金の請求、公共料金の名義変更など、お金に関する手続きも早急に対応する必要があります。ここでは、故人の銀行口座や保険、公共料金などに関する主なお金の手続きについて解説します。

銀行口座の凍結と解約・名義変更

親が亡くなると、その事実が銀行に伝わった時点で名義人の口座は凍結され、預金の入出金や各種引落しができなくなります。公共料金の支払いも停止するため、早めの対応が必要です。凍結された口座を解約または名義変更するには、相続人全員による遺産分割協議の成立が前提となり、あわせて必要書類をそろえる必要があります。

 

必要書類の例 内容
戸籍謄本 被相続人の出生から死亡までを網羅したもの
遺産分割協議書または遺言書 財産の分割内容を証明する書類
相続人の印鑑証明書 押印の正当性を証明するための書類
銀行所定の届出書類 相続手続依頼書や払戻請求書など
通帳・キャッシュカード 手続きに伴って返却が求められるもの

 

書類提出後、解約や払戻しの処理が完了するまでには、通常10日から2週間ほどかかります。なお、相続手続きが未了であっても、仮払い制度を利用すれば一部の預金を引き出せる場合があります。

生命保険金・葬祭費の請求

故人が生命保険に加入していた場合は、まず保険会社に死亡の事実を連絡し、保険金の請求手続きを進める必要があります。手続きは受取人が行い、死亡診断書や保険証券、戸籍抄本、印鑑証明などの提出が求められます。請求が遅れると手続きに時間がかかるおそれがあるため、早めに対応することが望ましいでしょう。

 

また、健康保険に加入していた人が亡くなった場合、葬儀を執り行った遺族が「葬祭費」や「埋葬料」といった給付を受けられる制度があります。支給額は自治体や健康保険組合によって異なりますが、おおよそ5万円前後が目安です。

クレジットカードや公共料金の停止手続き

故人の死後には、クレジットカードの停止や公共料金の契約整理も速やかに行う必要があります。カードは名義人以外が使用すると不正利用となるため、早急に各カード会社へ連絡し、利用停止または解約の手続きを進めましょう。

 

また、故人が契約者となっている電気・ガス・水道などの公共料金については、引き続き使用する場合は名義変更を、今後使用しない場合は解約を行います。銀行口座が凍結されると口座振替も停止されるため、支払方法を変更しておくことも重要です。

 

手続き項目 必要な対応内容
クレジットカード カード会社に連絡し、停止・解約手続き
公共料金(電気等) 使用継続:名義変更/未使用:解約
引き落とし支払い 別口座または別カードへの変更が必要

相続手続きと遺産分割の流れ

相続手続きは、遺言書の確認や相続人の確定、財産の調査など、段階的に進める必要があります。ここでは、相続手続きから遺産分割までの流れについて解説します。

遺言書の有無を確認し、家庭裁判所で検認手続きを行う

相続手続きを進める際、最初に確認したいのが「遺言書の有無」です。自宅の金庫や引き出し、貸金庫などを探し、遺言書が見つかった場合は、内容を確認する前に封を開けず、そのまま家庭裁判所へ検認の申立てを行います。検認は、遺言書の存在や状態を公的に確認し、相続人全員へ知らせるための手続きであり、遺言の有効性を判断するものではありません。

 

一方で、公正証書遺言や法務局に保管された自筆証書遺言は検認が不要とされています。以下は、検認手続きの一般的な流れです。

 

手続きの流れ 内容・備考
1. 遺言書の確認 封を開けず保管し、家庭裁判所へ提出
2. 検認申立て 相続人全員の戸籍・遺言書・申立書などを準備して提出
3. 検認期日の通知 家庭裁判所から期日の通知が届く
4. 検認の実施 裁判所で遺言書を開封・状態確認(相続人の立ち会いは任意)
5. 検認済証明書の交付 相続登記や金融機関手続きなどに使用可能

 

なお、検認を経ずに遺言書を勝手に開封すると、過料が科される場合があります。

法定相続人を確定するため、戸籍謄本を収集する

相続手続きを進めるうえでまず行うべきは、誰が法定相続人に該当するかを正確に把握することです。そのためには、被相続人の戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍を出生から死亡まで漏れなく収集する必要があります。これにより、婚姻歴や子どもの有無などが確認でき、相続人を確定する根拠となります。

 

また、2024年からは全国どこでも戸籍の広域交付が可能となり、以前よりも取得しやすくなりました。ただし、相続人の確定を行わないまま遺産分割協議を進めてしまうと、後に手続きが無効になるおそれがあります。

預貯金・不動産・株式など相続財産の内容と評価額を調査する

相続を進める際には、被相続人が保有していた財産の内容と評価額を正確に把握する必要があります。預貯金や株式、不動産、生命保険金のほか、車両や貴金属、美術品なども対象に含まれます。

 

これらに加えて、借金や未払金といった負債も調査し、財産目録として一覧にまとめることが基本です。金融機関への照会や固定資産税の通知書、名寄帳などをもとに、資産の所在や評価額を確認していきます。

相続財産に借金がある場合は、相続放棄や限定承認を検討する

相続財産に借金などの負債が含まれている場合、そのまま相続すると債務も引き継ぐことになります。財産よりも負債が多いと判断される場合には、「相続放棄」や「限定承認」を検討することが重要です。相続放棄を選ぶと、財産と債務の両方を一切引き継がずに済みます。

 

一方、限定承認は、取得した財産の範囲内で債務を支払う方法で、財産と借金の内容が不明確なときに適したものです。これらの手続きは、相続を知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。期間を過ぎると自動的にすべてを相続したとみなされるため、早めに財産の内容を調査し、適切な判断を下すことが大切です。

相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成する

相続人の確定と財産調査が済んだら、次に取り組むのが「遺産分割協議」です。これは、相続人全員で話し合い、それぞれがどの財産をどのように取得するか合意する手続きです。協議の内容は「遺産分割協議書」として書面に残し、相続人全員が署名と実印を押します。

 

書面には被相続人の基本情報や相続財産の内訳、分配内容などを記載し、印鑑証明書を添付する場合もあります。この協議は一人でも欠けると無効になるため、必ず全員の参加と合意が必要です。協議書は不動産や預金の名義変更など各種相続手続きにも用いられます。

相続税の申告・納付を行う

相続税の申告と納付は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に行う決まりがあります。仮に遺産分割協議が期限内にまとまらない場合でも、法定相続分に基づいた暫定申告を進めなければなりません。申告にあたっては、相続人の確定や財産・債務の整理、遺産分割協議書の作成といった準備が求められます。

 

納付は、金融機関や税務署の窓口のほか、ネットバンキングやクレジットカードで対応できる場合もあります。資金の一括納付が難しいときは、延納や物納の制度も検討しましょう。こうした手続きには期限が設けられており、遅れると延滞税などの負担が生じるため、余裕をもって進めることが大切です。

不動産・預金・株式など各財産の名義変更・相続登記を行う

遺産分割協議の内容が確定したら、各財産の名義変更手続きを順に進める必要があります。不動産については、管轄の法務局で相続登記(所有権移転登記)を申請しなければなりません。

 

なお、2024年の法改正により、相続開始から3年以内の申請が義務となりました。預貯金は金融機関で所定の手続きを行い、解約や名義変更を実施します。この際、戸籍謄本や印鑑証明書、遺産分割協議書などの提出が必要です。株式や投資信託も同様に、証券会社に名義変更を届け出る必要があり、そのままでは配当の受け取りや売却が制限されます。

税金関係の手続き

親が亡くなった場合、相続に関連する税金の手続きにも対応する必要があります。代表的なものが相続税の申告と納付であり、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内が期限です。一方、故人が個人事業を営んでいた場合や、不動産収入などの所得があった場合には、亡くなった年分の所得について「準確定申告」を行うことになります。この申告は、死亡を知った日の翌日から4か月以内が目安です。

 

これらの税務手続きでは、申告書の提出に加え、税金の納付や状況によっては還付の手続きが生じることもあります。必要書類は多岐にわたるため、早い段階から整理しておくと、後の負担を軽減しやすくなります。主な税金関係の手続きを、以下の表にまとめました。

 

手続きの種類 期限の目安 手続きの概要
相続税の申告・納付 死亡を知った日の翌日から10か月以内 財産・債務の評価、遺産分割後に申告
準確定申告 死亡を知った日の翌日から4か月以内 故人の最後の所得に関する申告

 

手続きの内容や判断に迷う場面では、税理士などの専門家に相談する方法もありますし、国税庁が公表している公式ガイドを確認することも有効です。

親が亡くなったら期限を守って順番に進めよう

親が亡くなったあとは、葬儀や役所への届け出、相続や税務申告など、多くの手続きを期限内に行わなければなりません。突然の出来事に動揺してしまうのは当然ですが、やるべきことを整理し、優先順位をつけて一つずつ進めていくことが大切です。特に、死亡届や相続放棄、税務申告などは期限が定められており、遅れると不利益を被る可能性もあります。

 

まずは信頼できる葬儀社や専門家に相談しながら、チェックリストを活用して対応を進めましょう。大切なのは、焦らず冷静に、期限を意識して段取りよく対応していくことです。落ち着いて一つずつ確実に手続きを進めましょう。

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